祈る

 

 

先日、実家に帰省しました。
亡くなった母の命日に、お墓参りをするためです。
母が亡くなって、20年が経ちました。

 

部屋の片隅に飾っているこの人形は、母が大切にしていたものです。

「表情が可愛らしい」という理由で手に取った母は、この人形がフランチェスコ派の修行僧が祈りを捧げている姿を模したもの、ということは知らなかったと思います。
縁あってイタリアとイタリア料理に魅せられ、この人形のモデルになった宗派の聖人、サンフランチェスコの生誕地アッシジを訪れて、初めて私も気が付きました。

母が気に入っていたこの人形の顔ですが、残念ながら1年前の震災の時に倒れ、鼻が欠けてしまいました。
最初は接着剤で簡単に治してしまおうと思ったんですが、思い直してそのままにしています。

人間は忘れる生き物です。
記憶が薄れることで、度々訪れる辛い事や苦しみに適応できるのだと思います。
私も20年前の痛みは薄れ、今はずいぶんと穏やかな気持ちでこの人形を眺めることができるようになりました。

でも、

1年前の辛い出来事の中で見つけた大切なことや、あの時感じた思いやりの暖かさを忘れずにいるために、この人形の鼻はこのままにしておくことにしました。

 

母だったら、「この顔も可愛いいわね」と、言ってくれるかな?

 

 

 

 

 

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